痛みは脳で決まる
こんにちは。
名古屋市守山区で痛みと身体機能改善専門リハビリ整体フィジオサロンキムラを経営している理学療法士の木村です。
こんなお悩みはありませんか?
✅長く続く腰痛や肩こりが改善しない
✅手術後の痛みが消えないと感じている
✅日常生活や趣味に支障が出ている
私は理学療法士として、こうした痛みに悩む方々と数多く接してきました。
そして、今回のテーマである「痛みは脳で決まる」という考え方に基づき、多くの方が痛みの本当の原因を理解した時、大きな進展を見せました。
特に、手術後の回復が思わしくない方にこのアプローチを導入すると、痛みが劇的に軽減することが多くあります。
痛みは単なる身体の反応ではなく、心とも密接に結びついているのです。患者さんと向き合う中で、痛みを抱えている方が『心の負担』を軽くすることで、身体の痛みが軽減する瞬間を多く見てきました。
【筆者について】
私は、理学療法士として18年目を迎え、これまでに数多くの患者様を治療してきました。高度専門職大学院で徒手療法とクリニカルリーズニングを修士号課程で学び、整形外科クリニックで豊富な臨床経験を積み、多岐にわたる症例に対応しています。これまでに、約3万人以上の患者様の慢性痛や手術後の痛みをサポートしてきました。
特に、「痛みは脳で決まる」という考え方に基づき、慢性痛の改善に注力しています。オーストラリアの痛み研究者、ロリマー・モズリー博士の理論を活用し、身体と脳の相互作用に焦点を当てたアプローチを行っています。痛みが身体の問題だけでなく、脳や心の影響を受けていることを理解し、個別に最適な治療を提供しています。
はじめに
日常生活で誰もが経験する「痛み」は、体からの重要な警告サインです。しかし、痛みについて深く理解していないと、恐れや誤解が原因で痛みを悪化させてしまうこともあります。特に慢性的な痛みに対しては、正しい知識が非常に大切です。
痛みとは何か?
痛みは単なる身体的な反応以上のもので、感情や心理的な要因とも深く関わっています。同じ怪我でも、ストレスが高いと痛みが増したり、不安が強いと痛みが長引くことがあります。つまり、痛みは脳と神経系の相互作用によって生まれるものなのです。
モズリー博士の見解:痛みは脳が作り出す
オーストラリアの痛み研究者であるロリマー・モズリー博士は、「痛みは脳が作り出している」という考えを提唱しています。
彼によれば、痛みは実際の身体の損傷と常に一致するわけではなく、脳がどのように情報を処理しているかによって痛みの感じ方が変わるというのです。
特に慢性痛では、身体が治癒しても脳が過敏になり、痛みを過剰に感じ続けることがあります。これは、脳が痛みの信号を「再プログラム」してしまう現象です。つまり、実際の損傷がないにもかかわらず、脳が痛みを作り出してしまうのです。
たとえば、腰痛が何カ月も続いている場合、レントゲンやMRIでは異常が見つからなくても、脳が痛みを感じ続けている可能性があります。これが、治療を受けてもなかなか改善しない理由かもしれません。
痛みを理解することのメリット
痛みを正しく理解することで、以下のようなメリットが得られます。
不安の軽減
痛みが脳の過剰な反応であると理解することで、「身体が壊れているのではないか?」という不安を和らげることができます。
痛みへの対処力の向上
痛みが身体の損傷ではなく脳の反応であると知ることで、痛みを積極的に「管理」するアプローチが可能になります。
生活の質の向上
痛みに対して過剰に恐れず、適切に対処することで、生活の質が向上し、痛みを軽減することができます。
痛みを理解するためのステップ
モズリー博士は、痛みの教育が重要であると強調しています。
以下のステップで痛みを理解することが始められます。
痛みに関する教育を受ける
痛みのメカニズムについて学ぶことで、痛みに対する認識を変えることができます。モズリー博士の著書や講演などは、痛みの理解を深めるための良い資料です。
心身のケアを行う
マインドフルネスやリラクゼーションを取り入れ、脳の過剰な反応を抑えることが痛みの管理に役立ちます。
たとえば、1日に5分だけ深呼吸をし、体の感覚に意識を向けてみましょう。
専門家に相談する
痛みが続く場合は、専門の医療従事者に相談し、痛みのメカニズムに基づいた治療を受けることが重要です。
結論
いかがでしたか?
モズリー博士の研究は、慢性的な痛みに対する新たな視点を提供し、多くの人々にとって希望をもたらしています。
痛みを正しく理解し、適切に対処することで、より健やかな生活を手に入れましょう。
痛みが長く続いている方や、従来の治療で効果を感じられなかった方は、ぜひフィジオサロンキムラにご相談してみて下さい。
参考文献
Moseley, G. L. & Butler, D. S. (2015).
Explain Pain (Second Edition).
Noigroup Publications.
この本は、モズリー博士が共同執筆したもので、痛みのメカニズムについて分かりやすく解説しています。特に、痛みの教育とその重要性について触れられています。(上記に表紙あり)
Moseley, G. L. (2007).
Reconceptualising pain according to modern pain science.
Physical Therapy Reviews, 12(3), 169-178.
この論文は、痛みがどのように脳で作り出され、管理されるのかを科学的に説明したものです。モズリー博士の痛みの再定義に関する重要な研究です。
Moseley, G. L., & Vlaeyen, J. W., & Linton, S. J. (2012).
Understanding chronic pain: A clinical review of neurophysiology and treatment implications.
The Lancet Neurology, 11(5), 524-536.
慢性痛に関する神経生理学的な解説と、痛みの管理に関する臨床的なインプリケーションがまとめられています。痛みと脳の関係について深く掘り下げた研究です。
Butler, D. S., & Moseley, G. L. (2013).
The Explain Pain Handbook: Protectometer.
Noigroup Publications.
このハンドブックは、痛みを患者が理解しやすく説明し、痛みの管理をサポートするためのツールとして使用されています。
Melzack, R. & Wall, P. (1965).
Pain mechanisms: A new theory.
Science, 150(3699), 971-979.
モズリー博士の理論に大きな影響を与えた、ゲートコントロール理論を提唱した古典的な論文。痛みが脳によって処理されるメカニズムを理解する基盤となります。